87歳の父、余命1ヶ月と言われてからの奔走

80代の両親と、これからのこと奮闘中!

[32]規則正しい生活の大切さ

夏に父が亡くなって4ヶ月ほど経ちました。

あの頃の母は支えなしではひとりで歩けず、自分の世話を止め、ただテレビの前にぼおっと座っている毎日でした。誤嚥性肺炎も拗らせてしまい、顔は紙のように白くどんどん弱っていくようでした。このまま父の後を追って亡くなってしまうのではとわたしはとても怖かったのです。

 

しかし、ここ最近、母はだんだんとひとりの生活に自分なりのリズムを構築したようなのです。まず母は、「歩く」ことからはじめました。毎日少しずつ散歩の距離を伸ばしていき、「今日は郵便局まで歩いた」「今日は駅まで行かれた」と話し、タクシーで通っていた診療所にも歩いて行くようになりました。

 

そして、毎朝近所の太極拳に参加するようになりました。はじめは散歩の途中で遠くから見ているだけでしたが、そのうちグループの輪の外で、目立たないように小さく見様見真似で身体を動かすことから始め、今では堂々と輪に加わって毎朝参加し、お友達もできたようです。

 

週に2回、デイサービスの体操クラブにも通っています。最初のうちは、「おじいさん、おばあさんばっかり」と言って不満そうでした(自分もおばあさんだと思うのですが……)。スタッフから子供扱いされることや、幼稚園のゲームのようなものに興醒めし、あまり楽しめていないようでしたが、あるとき母は「ばかになると決めた」と言いました。ボールを転がして大きな箱に入れる、誰にでもできそうな簡単なゲームにも率先して参加し、成功すれば大きな声で喜び、周りに声援を送り、失敗した人を励まし続けると、気付いたら楽しくなっていたそうです。毎回行くのが楽しみだと言っています。

 

よく歩き、運動するようになった母は、食欲も出てきました。以前は一人前の半分も食べられなかったのに、今ではぺろりと平らげ、食後のデザートまで美味しそうに頬張ります。

 

母のふくらはぎをマッサージしますと、肉がついてきて足がしっかりしてきたのがよく分かります。

 

毎朝同じ時間に起き、運動し、食事をし、楽しみ、同じ時間に就寝する。あらためて規則正しい生活が、人間にとってどれほど大切なことかを実感しました。82歳の母からまた学びました。